開発の生産性とスピードの向上に効くとして、企業の注目を集めている「ローコード開発」。では現場だけでなく、全社のビジネスに寄与できるツールの選定・適用基準とは何か。大成建設に話を聞いた。
「一品生産」の弱点をローコード開発で補う
経営環境変化が激しい近年、顧客ニーズに応えるスピードがビジネス最大の差別化要素となって久しい。これに伴い、システム開発にも一層のスピードと柔軟性が求められ、SIerに外注するスタイルだけでは、納期、要件ともにニーズを満たせないケースが増えている …
これを受けて、注目を集めているのが「内製化」だ。だが、人的リソースが限定的なことが課題となり、実現できずにいる企業が多い。加えて、多くの企業でリモート/シフト勤務が前提となるなど、今回のパンデミック(世界的大流行)もその実現に影を落としている。こうした中、内製化に向けたヒントをもたらしてくれるのが大成建設だ。
1873年創業の同社は「人がいきいきとする環境を創造する」を理念に、青函トンネルや横浜ベイブリッジをはじめ、日本を代表する数々のランドマークを手掛けてきた。国内に15カ所の支店、45カ所の営業所を持ち、台湾、シンガポール、インドなどの海外拠点を通してグローバルにビジネスを展開している。
同社全体の事業を支えるITシステムは、情報企画部コンサルティング室が企画し、情報子会社の大成情報システムが開発・運用を担当。プロジェクト規模に応じて外部パートナーと連携し、基幹系から情報系まで、バックオフィス全般の企画、開発、運用を担っている。コンサルティング室長の井上良悟氏はこう話す。