日本の高齢者1万人以上を対象にした調査で、犬を飼っている人は飼ったことがない人に比べ、介護が必要になったり、亡くなったりするリスクが半減することがわかった。飼い犬との散歩や飼い主たちとの交流が、お年寄りの健康維持に役立つことが裏付けられた形だ。国立環境研究所や東京都健康長寿医療センターの研究チームが23日、科学誌プロスワンに発表した。
国環研の谷口優主任研究員らは、住民基本台帳から無作為に選んだ東京都内の65~84歳の男女1万人以上に対し、郵送アンケートで犬猫の飼育の有無などを聞いた。さらに、介護保険などのデータを照らし合わせて、新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる2016年6月から20年1月まで約3年半の健康状態を追跡した。
調査開始時点で介護が必要な状態ではなかった1万1233人のデータを統計学的に分析。過去に一度も犬を飼ったことがない高齢者が自立喪失(介護が必要な状態や死亡)の状態になるリスクを1とすると、犬を飼っている高齢者のリスクは、0・54倍と大幅に低くなることを突き止めた。
過去に犬を飼っていた高齢者についてもリスクが減る傾向があり、一度も飼っていない人に比べて2割ほど低かった。